歌が止んだ日、世界は闇に沈んだ。
鳴ル神の歌は、世界の光だった。
「天照」と呼ばれたその歌は、人々の世界を照らし続けていた。
だが光は残酷だ。欲望も、嘘も、歪んだ祈りさえも――すべてを等しく照らしてしまう。
光が強くなるほど、影もまた濃くなった。
鳴ル神は自ら歌を封じ、沈黙を選んだ。
世界は常闇に包まれた。
――闇の中に、導きが現れた。
黒き翼――「八咫烏」。
常闇を裂いて現れた、神代の導き手。
救済ではない。ただ「前へ」と告げる声。
その先に何があるかは、誰も知らない。
止まるな、前へ。
光が生み落とした影。
封じた歌の裏側で、それは育っていた。
敵ではない。鳴ル神自身が生んだ穢れだ。
目を背けることは、もうできない。
それでも、前へ。
――扉の前で、立ち止まる。
岩戸は、まだ開かない。
常闇の先で、歌が待っている。